RM-07は各帯域の繋がりが自然で凄く良いなと思いました。また、もちろん解像度もレンジ感もRM-07の方がクリアに見えましたね。

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Profile

Songwriter / Producer

卓越したメロディーセンス、ジャンルを問わず幅広く且つ時代を捉えたサウンドメイクで数多のアーティストへ楽曲を提供。

美しく繊細なメロディーラインが秀逸なバラード楽曲に於いてその手腕を高く評価される。
また、Sound Produceに於いては、サウンドメイクのみならず歌心を最大限に引き出すボーカルワーク、ア・カペラアレンジをも得意とする絶妙なコーラスワークでアーティストから絶大な支持を得ている。

関連サイト:http://www.sparky.co.jp/haru/

Hitoshi Harukawa

Interview

――まず、RM-07を導入することになった経緯を教えてください。

「昔から一緒に作業をしている相馬さんから「Pioneer DJの凄いスピーカーがあるから発売前の試聴会に行きましょう」と誘われて、それでPioneer DJに伺ったんですね。正直最初は凄いと言っても、「どんなもんなんだろう」と甘く見ていたんですけど、実際に聴かせてもらったら正直結構びっくりしまして。僕がその前に使っていた、同じく同軸で解像度の高い ”従来製品A” がちょうど試聴会での比較対象のスピーカーにあって、どのぐらい匹敵するのかなと聴き比べ続けていたら、最終的にはむしろRM-07の方が良いと思うようになっていて。そしたら周りの人たちも「良いよね」ってザワザワしてたんですよ(笑)。」

――”従来製品A” とRM-07を比べていてRM-07の方が良いと感じた、導入する決め手になった部分はどこでしたか?

「僕の使ってた環境での印象なんですけど、各帯域の繋がりが自然で凄く良いなと思いました。”従来製品A” の方が低音が別の部分にあるような感じがしてしまって、その点はRM-07の方が自然な気がしましたし、もちろん解像度もレンジ感もRM-07の方がクリアに見えましたね。もともとそんなにパワードアンプが好きじゃなくて、”従来製品A” をやめたあとに”従来製品B” を 使っていたんですけど、パワードって聴いていると元気過ぎて部屋が鳴り過ぎてしまって、耳が疲れてしまうので長時間聴けないんですよ。そういうのと比べてもRM-07はしっかり鳴って、かつ自然に作業もできるので、Pioneer DJにお願いをして2015年の8月頃から導入しました。」

――RM-07に限らず、春川さんがモニタースピーカーに求めている重要なポイントは何ですか?

「語弊があるかもしれないですけど、正直言えば何でも良いと思っている部分はありますね。モニタースピーカーも道具なので、特性に慣れてしまえばクセがわかりますし、それに対して身体が反応して慣れて作業をしている感じも大事かなと思っていて。「道具を使いこなす」というか。なので、今まで色々使ってきた中では「あれじゃなきゃダメ」みたいなことは無かったですね。でもロウエンドという部分では、”従来製品B” だ と100Hz以下は見えないので、これまではヘッドホンで確認していたんですけど、RM-07にしたらその確認がいらなくなりましたね。RM-07で鳴っているまま良ければそのままで良いですし、音はヘッドホンで聴いた感じとも変わらないので、今はモニターのRM-07と、小さいラジカセの2つで確認するだけですね。道具として一番大切なのは、機材のクセとかを何も考えないで使えることだと思うので、自然に作業できています。」

Hitoshi Harukawa
“RM-07はしっかり鳴って、かつ自然に作業もできるので、Pioneer DJにお願いをして2015年の8月頃から導入しました。”

――モニタースピーカーの配置や、吸音と反射の部分も含めて、このスタジオのセッティングについて教えていただけますか。

「エンジニアの立ち位置だと、どちらかと言うと出ている音をちゃんと判断する部分が大きいと思うんので吸音をすると思うんですよ。僕も前は吸音してたんですけど、あまり吸音した音が好きじゃなくて、逆に木で反射させて余計なロウエンドをカットする方法を教えてもらってから、木のボードを配置しているんです。正しく反射させて、正しく要らないところをカットするという方法ですね。もちろん多少は吸音しているんですけど、基本的には反射させるという考え方ですね。」

――モニタースピーカーの位置は少し高めに置いているんですか?。

「110センチぐらいの高さなんですけど、音がモニターの上で鳴らないといけないですし、これより下だと若干バスレフが隠れてしまうんです。真ん中に座って背筋を立てるとちょうど耳の高さになって、スウィートスポットで聴けるんですよ。」

――RM-07を導入してからスムーズになった作業はありましたか?

「圧倒的にロウエンド見え方が変わったのは大きいですね。あと僕はバラードを作ることが多いので、リヴァーブの見え方が前と全然違いますね。今のJ-POPってリヴァーブがかかっていないようで、結構色んなリヴァーブとかディレイが何個もかかってるんですよ。それは実質はあまり聴こえないように、オケとの接着剤というか、馴染ませるために影のようにかかっているんですけど、そういうのを付けていく作業をしていると見え過ぎちゃって困るぐらい見えますよね。だからよく減らし過ぎちゃって、小さいラジカセで聞くと「あれ?ドライみたいだな」と思って、また増やす、みたいなことをやってますね(笑)。RM-07の特徴が出ると感じるのは、作曲の段階よりかは、歌が入ってから、歌の顔がはっきり見えるかどうかの部分ですね。よく僕らは「歌の顔の大きさ」って言うんですけど、リヴァーブとかディレイと同様に存在感がちゃんとわかるかという部分ですね。」

Hitoshi Harukawa
“RM-07の特徴が出ると感じるのは、作曲の段階よりかは、歌が入ってから、歌の顔がはっきり見えるかどうかの部分ですね。リヴァーブとかディレイと同様に存在感がちゃんとわかるかという部分ですね。”

――楽曲はソフトウェアで制作されているようですが、ハードウェアやアナログ機材を使ったりだとかのこだわりはありますか?

「昔はこだわっていたんですけど、だんだん時代が経つにつれて「そういうことではないんじゃないかな」と思うようになってきて。もちろん昔のものをこだわって使うのも好きなんですけど、道具として使いやすくて、結果として良い音が鳴るものを選んでいってる感じですかね。ノスタルジーという意味を含めて見ても、良い音が鳴るアナログ機材はあるんですけど、ヴィンテージのものは高いですしメンテナンスも大変なので、今のクオリティだったらソフトウェアでも良いのかなと思います。逆に、90年代のドラムを作りたい時にあえてASR-10から立ち上げたりとかはしますけどね(笑)。」

――春川さんが楽曲を完成させるまでの制作過程を教えていただきたいんですけど、まずどこから作っていくんですか?

「いまは作り方が2つパターンがあって、ひとつは昔からずっとやっている僕が1人で作っていく方法。もうひとつは、いま流行りの「コライト」って言う、何人かで作り上げていく方法があります。2つとも全然やり方が違いますね。1人でやる場合は、僕はメロディーから入っていくので、iPhoneのヴォイスメモを使って、出先で思いついたメロディーを歌って吹き込んで、スタジオに戻ってきたら服を着せていく作業をする感じです。これは多くの方がやられている方法だと思いますけどね。もう一方は何人かでやる作業なので、先トラックがあって僕が後からメロディーを付けていったり、僕が先にトラックを作って、誰かがメロディーを付けたり。コライトは多種多様な作り方がありますね。」

――楽曲を提供するアーティストの声質や歌い方など、ヴォーカルのことを意識しながらはどういう風に組み立てていくんですか?

「自分だけで作る場合は、設計図の中では常に主役でいるし、提供するアーティストさんのイメージをしながら足し算と引き算をしていくとこうなるかな、っていう作り方ですね。僕はアーティストさんと一緒に作るのも好きなので、よくこのスタジオにも呼びますね。コライトだと、計算できないところで結果的に予想だにしない方向に完成したりするのが魅力なのかなと思いますね。その真逆で、全員で一点を狙って計算をして作っていくこともありますね。そういう場合は歌のニュアンスとかまでそのアーティストさんに寄せたりとかしてデモを作りますね。今のデモってもう製品レベルと一緒なので、逆にぱっと聞いてもらった時に「このままでいこう」と思わせないと、コンペでは勝っていけないですね。」

――ではRM-07を導入してから一番思い通りに制作することが出来た楽曲は何ですか?

「Ms.OOJAさんの「あなたに会えなくなる日まで」ですね。ミックスもマスタリングも凄く綺麗で、エンジニアの片岡さんに「ありがとう!」って電話しちゃったぐらい感動しましたね(笑)。歌のエア感とエッジ感が浮いて聴こえる感じで、それこそRM-07の同軸ならではの定位感が活きていると思うんですけど、歌のエッジとか聴いてるとくすぐったくなる部分とかの存在感が凄く見えてきて、上がってきたマスタリングを聴いた時に興奮しちゃいましたね。」

――春川さんはバラードを多く手掛けられていますが、良いバラードを作る際に心掛けていることや意識していることは何ですか?

「良いバラードを作るには、何年経っても良いと感じるメロディーを作るしかないと思いますね。トラックだけじゃなく、メロディーで一度聴いただけでも良いと思えたり、「歌える」と思わせられたり、顔のあるメロディーを意識して作ってますね。」

――バラードのようなタイプの楽曲制作を多く手掛けるようになった理由は何ですか?

「オケ派かメロディー派に分かれるんですけど、僕の場合はオケよりかは圧倒的にメロディーが好きだったんですよ。だからそうなると、バラードの方がより発揮できるのかなと思っています。あとは僕のことを有名にしてくれたバラードが何曲かあって、それによる周りからのイメージとの相乗効果でここまできた部分がありますね。」

――先ほど仰っていた、リヴァーブやディレイのお話と近い部分はあると思うのですが、お一人でトラックを作っていくとなると、メロディーを引き立たせるテクニックなどもポイントになってくると思います。そういったトラックの細かな作り込みで重視していることは何ですか?

「僕の場合は、歌に対するカウンターメロディーです。「裏メロ」と呼ばれるものですね。やっぱりメロディーが大好きなので、もちろん裏メロを作るのも大好きで。例えば、歌のバックで鳴ってるストリングスラインが地味だけど意外と耳に残っていることってあるじゃないですか。それはシンセであったり、ギターのカッティングであったり、ベースラインの場合もあると思うんですけど。ひとつずつ意味のあるものが積み重なって曲になってると思うので、ただ流れで音を埋めていくだけじゃなく、意味のあるフレーズを歌に対して付けていくということですね。あまり全部が意味を持ってしまうと逆にうるさいんですけど(笑)。主役である歌の次に何かキャッチーな意味のある音を置いてから、肉付けしていくのが僕のアレンジの基本ですね。」

――メロディーをイメージしたりアイディアを得るために、欠かせない作業や大事にしていることはありますか?

「僕は音楽を聴かない時間を作ることです。移動中に音楽を聴いてしまうと考えられなくなってしまうことが多いので、音楽を聞かない時間の方が、逆にクリエイティヴになれているのかなと思う瞬間がありますね。もちろん、映画を観ながら、このシーンのBGMのメロディーが綺麗だなとか、良いストリングスラインだなと思って、受けている影響も少しはありますけどね。でも何も聴かない時に頭の中で鳴っている音が何なのかなと整理する時の方が大切ですね。メロディーが思い浮かぶ時は移動中が多いですね。スタジオでじっとして鍵盤に頼ると自分の手癖で作ってしまうので、そういう手癖が出ないように頭を自由にさせてます。」

――春川さんはより若い層が支持するアーティストの方々に楽曲提供をされることが多いと思うのですが、J-POPの中で起きている流行りの変化はどのように見ていますか? 例えば、80年代や90年代のリバイバルがあったり、海外のEDMからの影響も最近のJ-POPには大きくあると思うのですが。

「80年代、90年代、2000年代と、どの時代もリズムのビート感が時代を作っていると思うんですよ。意外とメロディーはそんなに変わっていないので、やっぱりビートがトレンドの基になっている部分はあると思ってて。でもそういうトレンドは熱量がないと追えないですよね。僕も80年代や90年代の若い時は熱量があったので一生懸命追えてましたけど、歳を取ってくるとどうしても段々と若い人の熱量には追いつけないのがリアルな話なんですね。だから最近は、海外のサイトで調べたりしながら、若い子に実際どういう感じなのか聞いてしまいますね。若い子の感覚と同じにはなれないですけど、プロとしては「どういうキック感がイケてるな」とか、「このスネアのクリスピー感が流行ってるな」とかは知っていないといけないなと思ってます。EDMももうアイドルの楽曲にまで辿り着いて、USの方ではもうEDMは下火になっているので、次は80’sっぽさであったり何かと何かのミックスなのか、次の流行が来るような気はしますよね。そういう細かい変化は追う努力をしてます。」

Hitoshi Harukawa

――J-POPにおけるバラードとなるとUSのR&Bやソウルのようなジャンルとの結び付きも強くなってきますが、英語と日本語で歌われる言語が全く異なる中で、J-POPとしてのバラードを確立させるために考えてきたことはありますか?

「90年代後半から2000年代前半にJ-R&Bというムーヴメントがあった時に、僕も結構作ってたんですよ。当時はどれだけカッコ良くUSの感じを取り入れながら日本語でやるかということを意識していたし、そういうスタンスの人は多かったと思うんですけど、R&Bを日本語でやる場合って「どれだけ泣けるコード進行か」とか「切なさ」とか詰まる所そういう部分になりますし、みんなが好きな曲で共通している部分がそこなのかなと思います。切なさ加減でみんなの琴線に触れるものってコード進行によるものが多いので、そういう部分は気にしてきましたね。もちろん日本語で歌われることも考えてますけど、今は今で日本語とかが関係無い符割になっているんですよ。デモの段階で英語っぽい符割でも日本語詞がハマったりして、僕が若い時には考えられなかった今のビート感やグルーヴ感とか、音の詰まり方とかに若い子は当たり前に対応してしまっているんです。今は日本語が乗るから、英語が乗るからという部分は自由に考えられるようになっていますね。自分自身もコード進行とかでキュンとする感じが好きなので、ビート感は常にその時代っぽい雰囲気のものに変えて、その2つを組み合わせたりして作ってきましたし、これからもそうしていくと思います。」

Interviewer : Hiromi Matsubara

RM-07

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