今まで自分が使っていたNXS2とDDJ-XP1のセットをそのまま一つに凝縮したような感じで、かなり使いやすいです。YB
×
—— まずはDJを始めるようになったきっかけを教えてください。
YB(以下Y): 17歳の時にYouTubeでDJ Crazeのプレイを見たんですけど、その衝撃が凄くて。それで自分でもやりたいと思って、すぐにDJ機材を買って練習を始めました。その一年後くらいに、スクラッチがめちゃくちゃ上手い人が福岡でスクールをしているっていうのを聞いて、そこに通うために地元の熊本から福岡に引っ越しました。スクラッチが上手くなっていくのが、楽しくて仕方なくて。それで、どんどんDJにのめり込んでいったという感じですね。
—— その後、DJバトルで活躍するにようになっていくわけですが、最初に出た大会は何でしたか?
Y: 一番初めに出たのが『渋谷No.1 DJ Championship』です。その後に『DMC』の九州予選に出たんですけど全然ダメでして、それから『Red Bull 3Style』が始まりました。僕がレジデントで回していたクラブで九州予選があって、クラブからも一人出場出来るということで出たら、国内のファイナリストに選ばれました。それから『Red Bull 3Style』には2016年まで毎年出てました(注:当時はYOSSYというDJ名で出場)。
何か変えたいなと思っていたのと、海外に行って新たなことに挑戦したい気持ちもありました
—— その後にカナダへ行ったそうですが、カナダへ行った理由は?
Y: それまで『Red Bull 3Style』では国内のファイナルに4度選ばれたんですけど、一度も優勝出来なくて。何か変えたいなと思っていたのと、海外に行って新たなことに挑戦したい気持ちもありました。それで2016年のファイナルで勝てなかったら行こうって決めていてカナダへ行くことにしました。カナダにはワーキングホリデーのビザでトロントに行っていて、英語を勉強しながら、クラブに通う日々でした。滞在して2ヶ月くらい経ったあたりから、クラブで知り合ったDJがやっているスクラッチのコミュニティに顔を出すようになって、その後に、その知り合ったDJと一緒に毎週金曜日にクラブでプレイするようになりました。
—— そこでCDJを使うようになったんでしょうか?
Y: そのクラブのターンテーブルの調子が結構悪くて、ピッチを+2動かしたら、+10になっちゃうみたいな(笑)。一緒にやっていたDJが「絶対にターンテーブルじゃなきゃダメ」って人だったんですけど、途中からたまに「今日は一人でやってくれ」って言われるようになって、 一人でやるのに、無理にターンテーブルを使う意味もないから、お店にあったCDJを使ってみることにしました。そしたら、壊れているターンテーブルよりも、初めて使うCDJのほうが全然やり易かったんですよ。それで、カナダのフリーマーケットサイトでCDJ-2000を2台安く手に入れて、家でCDJの練習を始めました。
—— ターンテーブルからCDJでプレイするようになって、すぐに慣れましたか?
Y: 慣れるのに2、3ヶ月くらいはかかりましたね。でも、自分にとっては新しい機材だったし、最初からすごく楽しかったです。昔、DJを始めた時くらいの気持ちで、毎日ずっと触っていました。
—— スクラッチに関してもすぐに慣れましたか?
Y: 始めてから1、2ヶ月くらいで出来るようになりました。ターンテーブルを使っていた人ならば、CDJでのスクラッチは早く慣れると思います。ただ、ジャグリングは結構苦戦しましたね。ジョグホイールを戻す感覚とか。自分に合うジョグホイールアジャストの設定を見つけるのにも時間がかかりました。でも、CDJ-2000NXS2になってからはジョグの感触がかなり進化して、ジャグリングもめちゃくちゃやり易くなりましたね。
—— その時からUSBメモリを使って、データでプレイするスタイルだったのでしょうか?
Y: そうですね。その頃にYamatoさんのデモ動画を観ていて、USBメモリを使ってのプレイが格好良いなと思っていました。その影響なのかCDJでやるんだったら、USBメモリでプレイしたいという気持ちはずっとありました。あと、CDJを使うようになってから、音源の管理でrekordboxも使うようになりましたね。
—— ヒップホップDJ=ターンテーブルっていうイメージも強いと思いますが、そういう部分での抵抗はありましたか?
Y: 最初はちょっとありましたね。でも、人と違うことをするのが好きなタイプなので。あと、カナダではよく話すようなDJとかもほとんどいなかったので、周りを気にすることもなく。そういう意味では逆に環境は良かったのかもしれません。
—— トロントから熊本に戻ってからも、DJをする時は常にCDJのセットでしたか?
Y: そうですね。CDJでしかやらないって決めてからは、CDJが無いところでDJする時には自分で持っていったりもしています。それから、DJバトルに出る時もCDJのセットです。
—— 大会によっては、CDJを使うDJはYBさんだけっていうこともあったりしましたか?
Y: 今時点での経験では、CDJは僕しかいないですね(笑)。『Red Bull 3Style』では世界大会で2、3人くらいはいるようですけど、国内は自分だけでした。2018年にニューヨークで開催された『Goldie Awards』に出た時もCDJは自分だけだったんですけど、リハの時に「これどうするの?」とか「これは何のボタン?」とか、他の出場者がすごく聞いてくるんですよ(笑)。前の年の『Goldie Awards』で優勝したMiles MedinaっていうDJが来ていて、彼にも声をかけられて、「キミの応募動画見たよ。俺もCDJに挑戦してみようと思ってるんだ」みたいに言われて。だから、みんなCDJにすごく興味は持っているみたいでしたね。バトルはまだ少ないですけど、ヒップホップDJでCDJを使っている人も今は多いですし。
—— 『Goldie Awards』では残念ながら優勝は出来ませんでしたが、ファイナリストの8名に選ばれただけでもかなり凄いことですし、自信はつきましたか?
Y: めちゃめちゃつきましたね。ターンテーブルからCDJに変えて初めて出た大会でしたし。本番ではミス無く出来て、すごく自信になりました。人もめちゃくちゃ多くて、自分がDJを始めたきっかけを作ってくれたDJ Crazeも審査員としていて・・・。 主催者のA-Trakに言われたのが、「CDJだったから選んだ」って。だから、ターンテーブルだったら選ばれてなかったのかもしれないですけど、A-Trakには『CDJであそこまでやるのは凄い』とも言われて。それは嬉しかったですね。
—— 『Goldie Awards』ではCDJ-2000NXS2とDJM-900NXS2というセットだったわけですけど、今年から新たにオールインワンDJシステムのXDJ-XZを導入されたということで。まずはXDJ-XZのファーストインプレッションはいかがでしたか?
今まで自分が使っていたセットをそのまま一つに凝縮したような感じで、かなり使いやすいです。
Y: 発売されることを知った時、良さそうだなと思っていたんですけど、実際に触ってみたら、本当に思った通りでしたね。今まで自分が使っていたセットをそのまま一つに凝縮したような感じで、かなり使いやすいです。
—— CDJ-2000NXS2とDJM-900NXS2のレイアウトをほぼそのまま踏襲しているのが、XDJ-XZの大きなセールスポイントでもあるわけですが、実際使ってみて違和感を感じることはなかったでしょうか?
Y: 全然無いですね。CDJ-2000NXS2には無かった8つのバッドが付いているので、その分、ジョグホイールの位置がちょっとだけ高いですけど、それも使ってみると、あまり気にならない。僕にとってはここにパッドが付いたことはむしろプラスですし。CDJ-2000NXS2にも同じ機能は付いてたんですけど、ボタン4つで切り替えとかもしなきゃいけなかったので。それで以前のセットにはMIDIコントローラーのDDJ-XP1を導入していて。でも、XDJ-XZだったら、DDJ-XP1を使わなくても『Goldie Awards』でやっていたルーティンも出来るので、かなり良いですね。
—— XDJ-XZを使ったルーティンを新たに作ったそうですけど、どういう部分でXDJ-XZならではの部分をルーティンに取り入れましたか?
Y: 例えば、パッドとジョグの位置が近い分、パッドとジョグを組み合わせたルーティンを入れています。あとは、自分の新たなトライとして、ミキサーのエフェクトで「HELIX」っていうのがあるんですけど、そういうのを取り入れたルーティンもやっています。今までは、そんなにいろんなエフェクトは使ってこなかったんですけど、自分なりに研究してみました。今までのルーティンはジョグホイールとパッドを駆使するだけだったんですけど、初めてエフェクトと向き合ってみました。それもXDJ-XZを使うようになって、やってみたくなった部分です。
—— XDJ-XZを使って、今後、何かトライしたいこととかはありますか?
Y: 外部入力が2チャンネルあるので、そこにCDJ-2000NXS2を繋いで、CDJ4台使いはやってみたいですね。どういう感じになるかは分からないけど、4台使ってのルーティンっていうのは挑戦してみたいと思っています。
—— DJコントローラーにパソコンを繋いでやるのと、オールインワンDJシステムにUBSメモリっていう組み合わせはやはり違いますか?
Y: 全然違いますね。僕はラッパーとかダンサーが好きで。彼らは手ぶらで何も持たずにパッと来て、パフォーマンスして盛り上げて帰っていくじゃないですか。それって、めちゃめちゃ格好良いなって。だから、USBメモリをパッと挿して、パッと盛り上げて、「じゃあ!」みたいなのが結構憧れますね。
過去5回Red Bull 3style Japan Finalist選出。福岡での活動後、2016年に単身カナダへ。トロントダウンタウンの多人種集まるナイトクラブで週末のレジデントDJをこなしつつ、ローカルDJの集まるコミュニティにも積極的に参加。翌年の帰国後、CDJを駆使したスタイルが評価され、New Yorkで行われたA-TRAK主催のGoldie Awardsに出場。