世の中のDJ達はきっとみんな感動したと思うよ。これは最初に感じたS9の魅力だね。DJ Spinna
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多彩なパフォーマンスを可能にする高い操作性・品質と豊富な機能を搭載したプロDJ/クラブ向けのSerato DJ専用2CHミキサー
—— まず初めに、DJを始めたきかっけを教えてください。
DJ Spinna(以下S): 13、14歳の頃からDJをやり始めたんだ。その頃はパナマに住んでいたんだけど、パナマのバックヤードパーティーでDJをしたのが初めだね。その後は、ブルックリンのベースメントでDJをしたりして、ビジネスとして真剣にやり始めたのは大学生の頃だよ。ちなみに、13歳の頃に作ったミックスのカセットは、今でも持っているよ。
—— 影響を受けた人は誰ですか?
S: フー!いい質問だね(笑)。僕はヒップホップとハウスの両方のシーンからの影響を受けたんだ。ヒップホップでは、もちろんグランドマスター・フラッシュ、ジャム・マスター・ジェイ、グランドミキサーDST、トニー・トーン、ジャジー・ジェフ、DJスクラッチ達の、素早くてスキルフルなプレイは、当時のヒップホップDJなら誰もが憧れたんじゃないかな。ハウスサイドは、ラリー・レヴァン、フランキー・ナックルズ、リトル・ルイ・ベガ、デヴィッド・マンキューソ達のプレイに影響された。ソウルを感じたよ。ヒップホップDJは、素早くミックスしたり、レコードをカッティングしたりスキル的な部分を学んだし、やっぱり音楽は構成が大事だと思うんだ。曲によってオーディエンスを感動させたり、クライマックスで盛り上げたりするし、DJによってはスタイルが色々違うけど、ヒップホップとハウスシーンの良いところを若くて学んだ。後、アフリカ・バンバータ 、ズールーネイションのオリジナルメンバーであるレッド・ライトも、ヒップホップのブレイキングやダンスの要素を兼ね添えていたから良く聴いたね。
—— DJ以外にもプロデューサーとしても活躍されていますが、今までプロデュースした中で印象的な思い出を教えてください。
S: プロデュースした中でも、代表曲のショウン・エスコフェリー「Days Like This」は今でも一番好きなトラックだね。作業に行き詰まったり、トラブルもあったり、キーボーディストのティクラーと試行錯誤して作ったよ。トラック制作が終わった時には、もうこのトラックは二度と聴きたくないっ!て思っていた。でも、爆発的に人気が出ちゃってどんどんまた好きになったね。後はやっぱり、スティービー・ワンダーの楽曲をリミックスした事かな。
—— スティービーのトリビュート・イベントWonderfullを始めたきっかけや、スティービー・ワンダーとの関係性について教えてください。
S: いろんなイベントを主催していたけど、特別なアーティストのイベントをやろうってなって、スティービーのトリビュートパーティー『Wonderfull』を開催し始めたんだ!スティービーは誰もが共感するようなリリックを書き、音楽も含め、世界を変えた素晴らしいアーティストだからね。最初はニューヨークで、そこからいろんな場所で開催した。イベントを始めて、3~4年後にスティービーから電話があって何度かボイスメッセージを残してくれていたみたいなんだけど、全く気が付かなかった(笑)。スティービーの家族がイベントでDJをやっていて、ある日、彼が三者通話をかけてきて、その時初めてスティービーとリンクしたよ。「ずっと電話しているけど、何で出ないの?」ってね(笑)。それがきっかけで、スティービーとの親交が深まってリミックスやWonderfullでスティービー本人が僕のDJブースで歌ったり、夢のような共演も果たした。日本でもWonderfullは何度か開催しいてる。
—— それではPioneer DJの製品について質問させて下さい。ミキサーはDJM-S9をよく使っているみたいですが、その理由を教えてください。
初めてDJM-S9を見た時、16個のパッドがかなり魅力的だった
S: 初めてDJM-S9を見た時、16個のパッドがかなり魅力的だった。過去にDDJ-SP1を愛用していたんだけど、そのパッドのデザインをS9に搭載したことによって、セラートを操るのがさらに楽しくなった。セラートとの相性が抜群だよ。あとは、自由自在に細かく調節出来るクロスフェーダーMAGVEL FADER PROのあるミキサーなんてS9が発売されるまで、過去に見たことなかった。世の中のDJ達はきっとみんな感動したと思うよ。これは最初に感じたS9の魅力だね。
—— パッドをどう使いこなしていますか?
S: もっといろんな事が出来るのは知っているんだけど、サンプラー、ホットキューを中心的に使っている。たまにロールも使うかな。僕は音楽を純粋にミックスしたいから、オリジナルの楽曲の雰囲気を崩したくない。だから出来るだけシンプルに使っているつもりだよ。
—— クロスフェーダーの好みを教えてください。
S: クロスフェーダーの好みは、時計でいうとちょうど2時の傾きだね。軽すぎず、重すぎない感じの摘み具合が好きだよ。DJによって摘み具合の好みにこだわりがあるから、それを細かく調節できるMAGVEL FADER PROは本当にパーフェクトだね。
—— Pioneer DJの印象について聞かせてください。?
S: Pioneer DJは、次世代のDJに対応していくブランドって感じだね。最先端のテクノロジーで、新しいミキサーや機材を開発して常に先の時代を走っているイメージ。ずっとPioneer DJの製品は使っているけど、90年代半ばのPioneer DJの製品でさえ、今振り返るとその時代の先を走っていたし、アナログからデジタルに時代の流れにうまく対応したと思う。他のブランドに比べてクオリティーが高いのに、値段が高くなくスマートなブランドだね。中でもやっぱりDJM-S9とDJM-900NXS2のミキサーは僕のお気に入り。いつも感謝しているよ。
—— 日本のDJや、これからDJを始めようと思っている人達にコメントはありますか?
S: 日本は特別だね。日本人って、みんな本当に音楽が好きだなって思う。いつもみんなによく言うのは、 Stay humble (謙虚であれ)。DJとして音楽をかけることが一番大事。自分のエゴよりも音楽に集中すること。DJが全てではなくて、音楽が全てで、音楽が先なんだ。後は、素材(楽曲)の事を常に知る事。アーティスト、プロデューサー、歴史やバッググラウンドについて追求した方が、自分が曲をかけている時にもっと楽曲を理解できる。さらにその音楽が人々にどんな風に影響されるかって事がもっと深くわかることによって、独自のDJスタイルを確立できると思うよ。教育と同じだね。知識を高めて、エンターテイナーだけど常に自分らしくDJするべきだと思う。
ニューヨーク・ブルックリン出身。ニューヨークを中心にアメリカのみならず、ヨーロッパや日本でもグローバルに活躍中。80年代のニューヨークで、若くしてDJを始め、ハウス、ファンク、ソウル、R&B、ジャズ、ヒップホップ、ダンスミュージック等幅広いジャンルの選曲を繰り広げる。彼独自のクロスオーバーな世界感を創り出す重鎮的存在のDJだ。DJとしてだけではなく、プロデューサーやリミキサーとしても、デ・ラ・ソウル、マイケル・ジャクソンなどの数々の著名アーティストと共演し成果を納めている。スティービー・ワンダーのトリビュートパーティーWONDER-Fullやマイケルやプリンスのトリビュートイベントも開催し、スパイク・リーとの共演Brooklyn loves Michael Jacksonで専属DJとして参加するなど、生まれ育ったブルックリンのコミュティーから世界へと多くの音楽ファンを魅了し続ける。