DDJ-1000SRTは本当にビックリするくらい一台で完結していて、これ以上求める事はない。DJ Dirtykrates a.k.a. Zeebra
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クラブスタンダードモデルのレイアウトを踏襲した演奏性の高い操作インターフェイス
—— 有名な話ではありますが、ラップを始める前はDJをされていたんですよね?
Zeebra(以下Z): そうですね。ブレイクダンスをちょっとかじってから、DJを始めました。最初はハービー・ハンコックの「Rockit」のライブでのグランドミキサーD.STのスクラッチに魅了されて。そこから、レッド・アラートがニューヨークのラジオでやっているミックスショーでの2枚使いとかのプレイにハマっていって、出来るだけ好きなレコードは2枚買いしてました。
—— プロのDJとして、クラブでも回していたんですよね?
H: 今だから言えるんですが、ちょっと歳をごまかして(笑)、17歳の終わりくらいに六本木のJ TRIP BARでDJを始めました。それが仕事としてやらせてもらった最初ですね。毎週末、金と土曜日の夜に、俺はブラックミュージック、ヒップホップ担当っていう感じで入っていました。でも、最初は自分が持っていたレコードではお客さんがほとんどビクともしなくて、踊ってくれるのはビート早めの曲とかディスコのような曲だけでした。それでハウスの曲からビッグ・ダディ・ケイン「Set It Off」みたいな早めのヒップホップに繋ぐっていうようなことを試しながら、なんとか形にしていきました。その後に、『DADA L.M.D』(注:ZOOを輩出した深夜放送のダンス番組)が流行ったことで、J TRIP BARでも俺が回す時間が一番盛り上がるようになっていって。
—— 最初の結婚を機にDJを引退して、一時はサラリーマンもやっていたそうですが、そこからラッパーとしてのデビューを経て、DJ復活したのはいつ頃ですか?
H: 2005、6年とかに(元ZOOの)CAPから、渋谷のレストランみたいなところでやってたイベントで「DJやってみてよ」って言われたのがきっかけです。そこで80’sとかの曲をかけるっていうのをやったら結構ウケて。自分でも「おっ、いける!」みたいになって(笑)。その頃にちょうどパソコンとかも使いだして、曲をCDに焼いて、CDJでプレイするっていうのを始めました。ただ、パソコンの方が曲の整理とかも簡単だし、テンポとかも調べてしっかりとやっていて、ヴァイナルでやっていた時よりも全然楽だなって思いScratch Liveが出た時もすぐに飛びついて買いました。
—— DJコントローラーを使い始めたのはいつ頃からでしょうか?
H: DDJ-SX-N(注:DDJ-SXの限定ゴールドモデル)が出た時だから、2013年頃かな? DDJ-SXを最初に手に入れた時は「超便利!最高!」って思いましたね。俺って、本当にDJしたがりだから、別にお金もらってなくても、どこでもすぐにDJをする(笑)。だから、知り合いのお店とかに勝手にコントローラーとパソコンを持ち込みます(笑)。事務所の道を挟んだ向かいにあるバーによく行くんですが、そこにも持っていってDJをして、お客さんとかも大喜びで。あとは友達のホームパーティとか。
—— そういったモバイルDJ以外だと、他にどういう用途に使っていましたか?
H: 仕事として使っていたのは(JAZZアーティスト・フリューゲルホーンの)TOKUとBLUE NOTEとかでライブをやる時。ターンテーブルの代わりにコントローラーを持っていって、曲をループさせたり、その上に楽器の音を乗せてもらったり、サンプラーを使っても遊べる。そういう場面でもコントローラーは本当に使い勝手が良いです。あと、今でも一番使っているのはWREP(注:Zeebraが局長を務めるヒップホップ専門ネットラジオ局)の自分の番組で、月から金曜日まで毎日触ってます。パネルを自分でデザインしたカスタムバージョンをスタジオに置いてあって、フル活用してます。
実際にDDJ-1000SRTを使ってみたら、操作性自体がかなり現場に設置しているPioneer DJのNXSシリーズの仕様に近いし、すごく使いやすかったです
—— 今年から新たにDDJ-1000SRTを導入したそうですが、変えてみていかがですか?
H: DDJ-SXを使っていた時に「マイクにエフェクトをかけられたらな」って思っていたのが、DDJ-SX3ではちゃんとエフェクトもかけられるようになっていて。それで「DDJ-SX3で十分」って思っていましたが、実際にDDJ-1000SRTを使ってみたら、操作性自体がかなり現場に設置しているPioneer DJのNXSシリーズの仕様に近いし、すごく使いやすかったです。俺自身はずっとターンテーブルでDJをやってきたから、やっぱりターンテーブルのほうが、まだまだ操作は慣れていますけど(笑)
—— 他の機能に関してはいかがでしょうか? 例えばジョグディスプレイなどは?
H: JOG DISPLAYはすごく見やすいです。あと、フェーダーのキレも良いし、パッドも使いやすいですね。
—— パッドはどういう使い方が多いですか?
H: パッドは基本、HOT CUEで使います。あとはサンプラーとして使うことが多くて、DJプレイの時に使っている自分の名前のシャウト(DJ DIRTYKRATES!)とか。あとはさっきも言ったようにラジオ番組で使う時には、ジングルやCMもここに入れて使ってます。
—— エフェクトはどういったものを使っていますか?
H: 「SOUND COLOR FX」は簡単に使えるし、ミックスの時とかも便利なのでよく使っています。あと、もちろん「BEAT FX」のDelayで飛ばして次の曲に行ったりとか、普段の現場でもよく使いますね。でも、エフェクトもパッドもそうですけど、コントローラーの機能をもっと駆使したいなって思っています。実際、俺が使いたいなって思うような機能がたくさん付いているから。例えば「BEAT JUMP」とかももっと慣れて、使いこなしたいなって。翼くん(キャプテン翼)的に言うと、どうしてもまだ友達になれてないっていうか(笑)。絶対、もっといろいろとやれるんだろうなっていつも思ってます。
DDJ-1000SRTがあれば、いろいろトライ出来るなって感じてます
—— 何かそう思うようになったきっかけとかあるんでしょうか?
H: 今は月一で渋谷にあるDJ Bar & Lounge WREPでDJをやっているんですが、そこでたまに一緒にやっているDJ 8MANが、異常なSerato DJ Proの使い方をしてまして。「マジで何やってるかわかんねぇ」って思う曲のかけ方をしていて(笑)。ループしまくって、それにエフェクトかけてまた次の曲を繋げてく。正直言って超面白いです。あれを見てると、本当にもっと使えるようになりたいなって思います。そういう意味では、DDJ-1000SRTがあれば、いろいろトライ出来るなって感じてます。事務所でDDJ-1000SRTを使って一人で練習するんですが、そういう時に普段やってないことをいろいろとやってみてます。でも、いざ実戦となると……。酔っ払っていれば、勢いで色々やっちゃうんですけどね(笑)。
—— 今後、DDJ-1000SRTをどういう場面で活用しようと思っていますか?
H: コロナ禍なので、最近はさすがに出張DJとか押し売りDJみたいなのはちょっと控えてます。だから、DDJ-1000SRTを外ではまだ使えてませんが、間違いなくモバイルDJ用としては最高なので、早く外でもやりたいですね。持ち運ぶには、これよりももっと小さいコントローラーを持っていれば良いと思うんですけど、小さいコントローラーだと長い時間本気でやる気にはなれないし、プレイはこっちのほうが絶対にやりやすいです。DDJ-1000SRTであればCDJ-2000NXS2とDJM-900NXS2という組み合わせと同じ感覚でやれるので、本当にこれ一台あれば十分だなって感じてます。
—— 最後にDJコントローラーに関して、今後さらに求めることはありますか?
H: 例えばモバイルDJをやる時に、コントローラーに付けられるマイクスタンドとかあれば良いですね。でも、それはおまけのおまけくらいの話で、DDJ-1000SRTは本当にビックリするくらい一台で完結しているし、これ以上っていうのは別に無いです。ターンテーブルを繋いでコントロールヴァイナルも使えますし、パソコンも2台繋げられる。DDJ-SXを使っていた時にあったら良いなと思った機能は全て揃ってます。あとは、iPhoneの待ち受け画面を変えるみたいに、色を変えたりディスプレイに自分の名前を出せるとか、そういうカスタマイズ的なことが出来れば面白いかなって。本当にそのくらいですね。
HIPHOP ACTIVIST
RAPPER / DJ / PRODUCER
東京を代表するヒップホップ・アクティビスト。不可能を可能にする日本人。ヒップホップレーベル「GRAND MASTER」代表。常に次のレベルを追求する姿勢に共感を覚えるリスナーも多く、その行動力と存在感により幅広い世代から支持を集めている。通算8枚のオリジナルアルバムを発表。2008年には武道館公演も開催している。
近年ではヒップホップ・フェス「SUMMER BOMB」や、「フリースタイルダンジョン」、「ハイスクールダンジョン」といった番組も手がけ、17年には、24時間体制のヒップホップ専門ネットラジオ局「WREP」を立ち上げた。