昔から音質、特に低音とかにはこだわっているんですけど、大きな会場で使ってもしっかりした音が出ているから、凄いなって思います。SPICY CHOCOLATE
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クラブスタンダードモデルのレイアウトを踏襲した演奏性の高い操作インターフェイス
—— 現在DJコントローラーとパソコンを使ってDJをされていますが、始められた頃はレコードからのスタートだったのでしょうか?
SPICY CHOCOLATE(以下S): そうですね。最初は7インチレコードの入ったボックスをキャリーに積んでクラブへ持っていって。その後、レコードからCDになって、CD用のケースを持ち運ぶようになって。パソコンでやるようになったのは、多分、MacのiBookがまだあったくらいの時代ですね。
—— その頃だと、DJソフトウェアは何を使用されていたのでしょうか?
S: Serato DJの初代インターフェイスである”SL1”から入りました。その当時は、DJを交代する際にインターフェイスにUSB端子が1つしかないことから一回止めないといけないし、クラブによってミキサーやSeratoの設定も違っていたり、相性もあるんですよね。だから、自分の出番になって交代したら、全然音が出なかったりして。「ちょっと待って!」みたいなことが結構ありましたね(笑)。だから、どこのクラブに行っても、いつもの自分の設定のままプレイが出来て、コンパクトで持ち運びも可能なのってないですかね?って、Pioneer DJの担当の方に相談したら、DDJ-1000SRTを紹介してもらったっていう感じですね。
—— クラブなどでプレイする際に、DDJ-RZXを持ち込まれることはありましたか?
S: さすがに持って行くのには重すぎて無理でしたね。しかし、都内で動く時とか、大きなイベントがあったり、テレビの収録ではDDJ-RZXを使っています。
—— では現在は、DDJ-1000SRTとDDJ-RZX、2種類のコントローラーを使い分けていらっしゃるのですね。
S: そうですね。DDJ-1000SRTは主にクラブ営業とかで使わせてもらっています。あと、DDJ-RZXは対応しているDJソフトウェアが”rekordbox”、DDJ-1000SRTは”Serato DJ”という違いもありますよね。僕自身、今までずっとSerato DJを使ってきたので、DDJ-1000SRTを使うようになって、そういう面でも楽になったかなって。
—— 実際にDDJ-1000SRTを導入してから、クラブなどで使ってみていかがですか?
S: コンパクトで高性能なので、すごく便利ですね。クラブに着いてケーブル2本をミキサーに繋げれば、すぐに使えちゃう。普段、自分が家でやっている環境を、そっくりそのまま、どの場所に行っても出来るっていうのが、メリットとして一番大きいなと思っています。それにクラブに限らず、これとパソコンとスピーカーと電源があれば、どこのパーティでもDJが出来るじゃないですか。しかもこれにターンテーブルも繋げられて、レコードもかけられるっていうのもすごく良いなって。
普段、自分が家でやっている環境を、そっくりそのまま、どの場所に行っても出来るっていうのが、メリットとして一番大きいなと思っています
—— DDJ-1000SRTはチャンネル3、4にターンテーブルを繋いで、ミキサーとして使うということが可能になっています。
S: ちゃんとターンテーブルを繋ぐためのアース端子もあるし。普段、家でセッティングする時もターンテーブルを2台繋いで使っています。
—— DDJ-1000SRTの大きなポイントとして、CDJ-2000NXS2と近いサイズ感というのがありますが、その点はいかがでしょうか?
S: 今までのCDJを使ったDJセットと同じくらいの規模感でやれるのが良いですね。このサイズのほうが見てくれも良いですし。小さくても、やろうと思えば出来るんですけど、あまり小さすぎると、スケール的にも自分が小さく見られちゃうから(笑)。
—— ジョグホイールの回転の負荷を調節するために、JOG ADJUST機能がありますが、レゲエではバックスピンを使用する場面が多いですよね?
S: レゲエ特有なんですけど、曲が盛り上がった時に「コマゲン(Come again)!」とか「プロ(Pull up)!」って言って、「キュルルルル」って逆回転させて、同じ曲をもう一度頭からかけるっていう文化があって。その時に思いっきり回せるように、ジョグ・アジャストは一番軽い設定にしていますね。他のジャンルならば、普通は設定を真ん中とか、重くしている人が多いと思うんですけど、そこはレゲエならではだと思います。
—— ジョグホイールの感触であったり、全体の使用感などはCDJ-2000NXS2を使っている時と同じ感覚でしょうか?
S: ほとんど同じですね。そこは本当に凄いなって思います。
—— 少し話が逸れますが、レゲエをプレイする方たちはターンテーブルからCDJへ移行するのが早かったイメージがあります。
S: 僕も何でかな?って思っていたんですけど、レゲエってプレイの基本が7インチのレコードなんですよ。ヒップホップとかオールジャンルの人は12インチでのプレイが普通だったのが、レゲエは一曲一曲を7インチでコレクションしていくのが主流でして。CDJのジョグホイールってほぼ7インチサイズなんですよね。だから、違和感なくCDJにそのまま移行出来たのかなって。パソコンでDJするようになっても、ターンテーブルよりも、DJコントローラーのサイズのほうが、馴染みがある。7インチと同じだから、手応えがバッチリなんだろうなって。
—— PERFORMANCE PADはどのように活用していますか?
S: サンプラーとして使っていて、オリジナルのSE(効果音)を入れています。
—— 具体的には、どういった音源が入っていますか?
S: そうですね。(実際にDDJ-1000SRTを操作しながら)例えば、面白いのでいくと「SPICY CHOCOLATE」この声はヒカキンですね。あと、みちょぱ(池田美優さん)の「みちょぱでーす!」のシャウトとか、他にはこういう変わったもの「わっしょい!」「よっ、日本一!」も入れています。それからホーンとかですね。
—— こういうSEにもオリジナリティというか、スペシャルなことを入れていくのもレゲエならではですね。
S: レゲエは曲の替え歌を作る文化(=ダブ)があって。僕も自分でプレイする時は、既存の曲というよりも、オリジナルの曲だったり、誰かが自分のために歌ってくれた替え歌をプレイすることが多いので。だから、SEとかも変わったものになっていくのかなって。
—— DDJ-1000SRTをクラブなどの現場で使ってみて、音質の面はいかがでしょうか?
S: 最初にDDJ-RZXを導入した時に「これだったら大丈夫だな」って思ったんですけど、DDJ-1000SRTに関しても、音質面は全く劣らないですし、本当に素晴らしいですね。昔から音質、特に低音とかにはこだわっているんですけど、大きな会場で使ってもしっかりした音が出ているから、凄いなって思います。ただ、音質面ではないのですが、一つだけ要望があって。DJ用のPCスタンドってあるじゃないですか? ああいう感じで、DJコントローラーの専用スタンドみたいなのがあれば良いなって。クラブのDJブースにCDJ、ミキサー、ターンテーブルとかが既に置いてあって。これをどこに置くの?っていう問題がよく起きるんですよね。
—— DDJ-RZXよりはコンパクトですけど、DDJ-1000SRTもそれなりに場所は取りますからね。
S: 他の機材をどかして、配線を変えたりするのも大変じゃないですか。そうなると、例えばCDJとかターンテーブルの上に、グラつかないように気を付けて置いたり、結構大変なんですよ。だから、専用のスタンドがあったら良いなって。調べてはみたんですけど、そういうものは売ってないんですよ。そうなると、自分で作ったほうが早いのかな?とも思っていますね。
—— もしファンの方の中に「これからDJを始めてみたい」という方がいたら、DDJ-1000SRTのようなDJコントローラーを使ってのDJはお勧めしたいですか?
S: 絶対にこのセットで始めたほうが良いよって思いますね。CDJ2台とミキサーを買うよりも、これ1台とパソコンがあれば、すぐにスタート出来ますからね。コンパクトだし、調整も楽だし、サンプラーも付いてるし、マイクも入れられる。USB端子が2台分あるから、友達がいても途中で交代とかも出来るし。そういう部分もさすがだなって思います。ベタ褒めしてますね(笑)。
—— USB端子が2台分っていうのは、やはりメリットとして大きいでしょうか?
S: もちろんです。自分の番が終わった後、次のDJに入れ替えるのがスムーズに出来ますからね。やっぱり、それってすごく大事で、最初にも言ったように、そこで詰まることが結構あるんですよ。設定の違いとかを気にせずに使えるっていうのは本当に大きいですね。
ジャパニーズレゲエ界に名を馳せるKATSUYUKI a.k.a. DJ CONTROLER 率いるREGGAE SOUND CREW=SPICY CHOCOLATE(スパイシーチョコレート)。 2013年11月末よりOAとなった、「NTTドコモ」テレビCMソングに「ずっと feat. HAN-KUN & TEE」が起用され、配信チャート19冠を達成するなど、一躍注目を集める存在に。 その後も『渋谷純愛物語』シリーズを新たにスタートさせ、先行配信曲を含め各配信チャートを席巻。2015年に北米限定でリリースした「THE REGGAE POWER」はグラミー賞ベスト・レゲエ・アルバム部門にノミネートされるなどワールドワイドに活躍を見せる。2020年3月11日には、約3年ぶりとなるアルバム『TOKYO HEART BEATS』をリリース。9月12日には、主催フェス「渋谷レゲエ祭〜レゲエ歌謡祭2020〜」を開催する。