何のためにミキサーにチャンネルが4つもあるのか、何のために機材のボタンやノブがこんなにあるのか考えて練習していくと使い方は無限にあると思います。YAMATO
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ハイレゾ音源再生のほか、外部エフェクトを追加できるセンドリターンセクションを独立させるなど表現の幅の広がる楽曲アレンジが可能なDJミキサー
—— DJを始めたのはいつ頃からですか? また、きっかけはなんでしたか?
YAMATO(以下Y): 子供の頃からのことが全て繋がって今の自分があります。幼少の時から身体を動かすのが好きだった一方、音が出る家電製品にもとても興味を持っていました。当時幼いながらもあらゆる家電製品のパンフレットを読みあさっていました。大学時代、ストリートダンスをしていたんですが、クラブで踊る機会があって、フロアから見たDJブースがすごく気になって…それが大きなきっかけになりました。当時は踊る側だったんですが、踊らせる側になりたいなと思うようになりました。
—— 初めてクラブでプレイしたのはいつでしたか?
Y: 2011年の夏、金沢でm-floの☆Taku TakahashiさんとB2Bをさせてもらった時です。ソロで初めてプレイしたのは、東京湾でのクルージングパーティです。それから都内のクラブに出演しながら、DJを始めて半年ほどからDJバトルにもエントリーしていました。
—— その当時のCDJの機種は何でしたか?
Y: CDJ-2000です。クラブではメインフロアには最新機種、セカンドフロアやラウンジには1つ前の機材が置いてあることが多かったので、CDJ-1000MK3やCDJ-800の時もありました。当初はCDを焼いてプレイしていました。
—— 現在のYamatoさんのパフォーマンスやテクニックで魅せるスタイルに変わったのはいつ頃からですか?
Y: 2012年の5月頃だったと思います。2011年の夏に人前で初めてプレイしてから、翌年にはDJバトルに出るようになって、DJバトルに出るたびに、CDJを1台ずつ増やしていきました。2013年に優勝した『burn WORLD DJ CONTEST JAPAN 2013』では3回目のDJバトル出場でしたので、その時初めて4台のCDJを使用しました。その時にはもう今のスタイルになっていたと思います。
—— テクニック動画を見て、お手本にしていたDJはどなたでしたか?
Y: Eats Everything、Carl Cox、James Zabielaなど少なからずお手本にしていましたが、ある部分だけを参考にしたりしていたので、特に誰かっていうのは無いですね。なので独学の部分がほとんどです。
—— CDJを4台使用してプレイする際に、重要なことや気を付けていることは何ですか?
Y: 動きを滑らかに見せること、ズレないこと、踊れることですね。単純に音を被せれば良い、全部のフェーダーを上げれば良いというわけではないので、そこは常に気を付けています。技をしていてもグルーヴが崩れないということを意識していて、目をつぶって聴いたとしても踊れるということをひとつのコン セプトにしています。
—— パフォーマンスを行う際、事前に準備をされている部分もあると思うのですが、例えばPioneer DJのYouTubeチャンネルで公開されていたCDJ-2000NXS2とDJM-900NXS2のパフォーマンスは、どのようにして事前の準備をされたんですか?
Y: 使用機材と選曲をある程度考えてから、CDJ-2000NXS2、DJM-900NXS2、DDJ-SP1、rekordboxを用いて仕込むところから始めました。音よりも先に動きの流れを作ったりしていました。例えば、”このCDJをスピンして、フェーダーを触って、別のCDJに移る”みたいな動きの流れを先に考えて、そこに音を当てはめていくことをしたり。大体は選曲をしてから動きの流れを組み立てていき、なるべく動きに無駄が無いようには心がけていますが。あとは、誰もやっていない動きを入れること、自分のオリジナルの技は意識しました。DDJ-SP1のパッドをスライドして音を出したり、フェーダーをドミノ倒しみたいに上げ下げしたり、ジョグを鷲掴みするように止めたり。この触り方をしたのは世界で僕が一番初めだと思います。
—— 習得するのが難しかったテクニックはありますか?
Y: 小技を連続してやるのは大変ですね。例えば、2台をSLIPモードにして、順番にSLIP SCRATCH、SLIP SCRATCH、SLIP PAUSE、SLIP REVERSE、SLIP HOT CUEを連発しながら、フェーダーも使っていくパフォーマンスは難しかったです。あとは、基礎的なことだと、手元が見づらいフェスのような現場とかでもスクラッチができるように練習しました。けどやっぱり一番苦労したのは4台使いですね。
—— CDJ-2000、CDJ-2000NXS、CDJ-2000NXS2と使ってこられて、変わったなと思う部分はどこですか?
Y: 基本的にパフォーマンスに関わるボタンの配置は継承されていますけど、機種が変わるその都度、見た目以上に新機能が増えていっているのが大きいですね。例えば、CDJ-2000からCDJ-2000NXSになった時は、SLIPモードが追加されたり、QUANTIZEのボタンにLEDが付いたり、BEAT SYNCが入ったり、あとはMASTER TEMPOの音質が変わったりとか。CDJ-2000NXS2になった時はHOT CUEが3個から8個に増え、QUANTIZE の分数拍対応、またハイレゾ対応になり、画面が大きくなってタッチパネルになりましたね。僕の中では、CDJ-1000からCDJ-2000に変わった時が結構大きなアップグレードで、CDじゃなくてUSBでプレイできる、もしくはLANケーブルを持って行けばPCだけあればプレイできるっていうのは大きな変化でした。あとは4台使いをしているとBEAT SYNCは欠かせないですね。それとSLIP機能が付いたのも大きいです。ダイナミックなプレイをしてもバックグラウンドで曲の再生が続いているのでグルーヴが崩れないこと、これを複数台で使うともっと面白くなります。
—— 確かに、YamatoさんはよくSLIP機能を使われているイメージです。他によく使うお気に入りの機能などはありますか?
Y: どれもよく使うんですけど、特に使う機能はHOT CUE、4BEAT/8BEAT LOOP、VINYL SPEED ADJUSTですね。あとJOG ADJUSTはいつも一番軽くしています。バックスピンの音を長い間出したくて、その音に対してBEAT FXでエフェクトをかけることもあるので。DJM-900NXS2だと、FX FREAQUENCYです。3つボタンで帯域を選べるので、LOWだけエフェクトをかけたくない時とか便利です。視認性の部分だと、BEAT FXのアサインされているチャンネルが光ることと、X-PADの分数拍とかが記載されるようになったのも分かりやすくなっています。あとは、イヤホンジャックが2つになったのがDJ交代の時に便利です。
—— 実際に海外のイベントやフェスで活動することを意識し始めたのはいつ頃からでしたか?
Y: 『burn WORLD DJ CONTEST JAPAN 2013』に優勝し、スペインのイビサ島で行われた世界大会でAviciiからフェスの共演者に指名されハンガリーのブダペストで日本人初共演が決まった時からです。世界18カ国、5000組を超える応募者から選ばれたことが意識するきっかけになりました。
—— 世界的に見ればまだまだパフォーマンスを行うDJは少ないですが、その中でYamatoさん自身のキャラクターを確立するために意識していることは何ですか?
Y: 誰もやってないことをやる。これが自分だという技を身につけることです。もちろんDJの基本となる技術や曲を繋ぐことが一番大事だと思いますが、何のためにミキサーにチャンネルが4つもあるのか、何のために機材のボタンやノブがこんなにあるのか考えて練習していくと使い方は無限にあると思います。その可能性の中から誰もやっていないことや、やっていないことの組み合わせを見つけて行くことはこれからも意識していきたいです。
ゆくゆくは世界のDJランキングでランクインするDJになりたいです
—— では今後の展望や目標を教えてください。
Y: まずは、アジアNo.1のDJになりたいです。ゆくゆくは世界のDJランキングでランクインするDJになりたいです。そして自分のスタイルを貫き続け唯一無二の存在になりたいです。
—— 最後にYamatoさんのDJを見て、プロのDJを目指している人にアドバイスをお願いします。
Y: 機材や音源を揃えることも大事だと思いますが、現場に行くことも大切だと感じています。最近はミュージックカンファレンスなども増えているので参加するだけでも良い経験になったりしています。
DJデビューから僅か2年でコカコーラ社の主催する「burn WORLD DJ CONTEST 2013 JAPAN」に優勝し、イビサ島で行われた世界大会でAviciiからフェスの共演者に指名されハンガリー・ブダペストで日本人初共演。数々の大型フェスに多数出演し、近年では世界No.1ダンスレーベルである”BIG BEAT”からリリースされた、NERVOの新曲「In Your Arms」のRemix参加や、4/26に同日リリースになる、倖田來未の人気Remixシリーズ「Driving Hit’s 7」収録の「Ultraviolet」にRemix参加するなど、その卓越したRemixセンスにも注目を集めており、国内外からのラブコールを集めている。彼の真骨頂である、CDJを駆使した超絶テクニックがPioneer DJにピックアップされたパフォーマンスビデオでは、彼にしかできない超絶テクニックを惜しげも無く披露しており、Afrojack、Laidback Luke、LilJonらがTwitterで話題にするなど、世界のシーンでも一目置かれる存在となり、Pioneer DJ機材の機能をフルに活用したテクニカルで躍動感溢れるDJスタイルが見るものにインパクトを与えている。